尚美のこと【二夜 狂想】
今、尚美の創っている世界には、二人の男を招き入れて弄ばせている情景があるのだろうか? そして私の像はそこにあるのだろうか?
私は仮想の入口に尚美を導き、門を開いて背中を押した。しかし今は、彼女自ら築いた狂想の世界がある。
「あぁ… あぁ… 」
悦感に委ねた体が灯りと共に揺れている。…その灯景に固唾を呑んでいる私。
「だめ… だ、め… いけない… 」
尚美は二メートル半ほど離れた私を、薄く目を開いて見ている。その片方の目から一筋の雫が頬をつたった。
「いきたいのか?」
尚美は小刻みに幾度も首を縦に振り、「お願い、きて」と言った。私は彼女との距離を縮め、彼女が築いた狂想の世界へ立ち入った。気に満ちた余韻を引き連れて。
私と尚美は狂想の中で絡み交わった。
もっと激しく、もっと深く、もっと永く、
… もっと淫に。
「い い… い い … すご、く、いい」
静寂な夜の闇に、尚美の喘ぎ悶える息と声が吸い込まれていく。
「も もう だめ… いき そう… 」
尚美は啼きながら幾度も絶頂を迎えた。私の背中に回した腕をきつく締め、指を立て、その度に息を詰めた。彼女の顔は充血し、首の血管が浮き出ている。
「あぁ… また… また また、いくっ」
「おねがい… いっしょに 」
私も限界が近い。「いきそうだ」と声にした時、尚美が言った。
「そのまま そのまま、いってもいいよ」
私は動きを止めて彼女の顔を見た。迫りくる限界が少し退いた。
「そのまま… いって」
「中に、中に 出していいのか?」
尚美も昇りつめる手前で笑顔をつくろい小さく頷いた。私は動きを再開した。彼女の壺の中の凹凸をすべて感じとるように、ゆっくりと。
二度目の限界が前より大きな波になって訪れた。尚美の体の事情に甘えることにして、溜めておいた欲情と精液を壺の中へ吐き出した。ペニスの管の中を精液がどくどくと流れる快感に酔いながら。
尚美も、私の放出の気配に唇を合わせて一緒に果てた。吐き出しきれなかった欲情の一部は、唾液となって合わせた唇から彼女の体の中へ吸い込まれていった。
ペニスを壺から抜くと、白濁した汁が、濡れても大丈夫なシーツを濡らした。
山小屋からの帰り道、ラーメン屋に寄った。尚美は並。私はラーメンと餃子六個の付いたセットを注文した。
「二個、餃子ちょうだい?」と尚美が言ったので小皿に移した。
尚美から、温泉とラーメンが好きだと聞いていた。