尚美のこと【女陰】
縄化粧をした尚美は妖艶さを増した。
尚美はいつもの「電気を消して」とは言わない。今日は言わない気がする。明々とした白日のもとに連れ出された女囚のよう。
このままでは済むはずのない予感に目を閉じて怯えている。彼女の姿を眺めていると、淫らな気分が沸き立ってくる。
私は尚美を低いベッドに横にさせ、長襦袢の裾をゆっくり折った。「あ、いや…」と初めて声を洩らす。構わず、閉じようとする脚を力を込めて開いた。
陰毛の中に隠れていた裏の唇。
白日の陽を浴びる彼女の表の厚い唇と同じで、その唇も厚い様相をしていた。清楚で華奢な尚美の「からだ」の陰に、成熟した女の部分がそこにある。彼女は顔をシーツに押しあてて背け、強く目を閉じて耐えている。
いつもは薄暗いラブホテルの一室で彼女の体を探るように愛撫している。今は彼女の顔も表情も、陰も、よく見える。
そこは、じゅうぶんに濡れていた。見ているだけなのに、じわじわと湿ってくる。キスが好きだと尚美が言っていたのを思い出して、その唇に口づけをして、濡れていたものを舐めてぬぐった。
そして徐ろに、鞄の中から淫らな道具を幾種類か取り出して、弄ぶ。
「いや …」「… やめて」「もう だめ …」
淫具が沈みこみ引き出される音と、尚美の荒い息と声が混ざる。そして彼女は、溢れるものでシーツを濡らし、何度も昇りつめた。
私は淫具を離し、縛られたまま長襦袢で乱れた尚美と交わった。挿入したペニスが、また尚美から溢れてきた熱いもので包まれる。蒸されるような快感で、私も昇つめた。
彼女を隣り街の最寄りの駅まで送って行った。駅へ向かう途中、車の中で彼女が言った。
「わたし あんなこと 初めてだったんです」
どうやら、縛られたことより潮をふいたことを言っているようだった。
彼女の優しい敬語は続いた。
「すごく 恥ずかしかった んです」
車から降りた彼女は、笑顔で軽く会釈をして小さな手を振った。
清楚で華奢な尚美に戻っていた。