尚美のこと【舌】後編
そっと手を伸ばし尚美の顎の下に手を添えて顔を持ち上げる。
尚美の目の前に私の顔が現れて、彼女の視線は私へ向いた。
私は「口を開けて 舌を」と言った。
「もっと…」「まだ…」
差し出すのを躊躇しているその舌を、二本の指で掴み、私の方へ引く。「あ」に濁音のついたような声が漏れる。暫くすると涎が出てきて滴る。彼女の小さな乳房はそれを受け止められず、涎は糸をひいて腿に落ちている。
私は指で挟んだ舌を離して立ち上がり、硬くなったペニスを握り、狙いをさだめて彼女の顔に近づける。
そして凶器に化した棒で尚美の頬を何度も打った。ぴしゃ ぴしゃと、頬がはじける音が響く。彼女はそれを瞬きを繰り返しながらじっと受け止めている。凶器の先を彼女の唇に当てる。
ほしいか?と言葉にはせず、こころの中で呟いた。それが伝わったのか、彼女はまた舌を差し出してゆっくりと舐め始めた。
私は言った「もっと もっと 舌を出して 巻いて絡めるように」と。
命令的な口調に驚いた彼女は、額に皺をよせて上目遣いで私を見た。その視線に私のペニスがぴくんと反応する。
そして、尚美は私の言うことに従った、とても 素直に。
いずれ自分の内臓に突き挿される凶器を舌で研いでいる、とても 入念に。
その後もこと細かく舌の使い方の指導をした。そして彼女は、とても 上手になった。
私は尚美に言ってみたいひと言を思いついた。手は縛られて使えないので、首を使い、ペニスを含み飲み込んでいる尚美に、その言葉を吐いた。
「気持ちいい… 上手くなった」
「これなら 他の男達も 満足するだろうな」
この思いもしない、衝撃的なひと言を耳にした尚美は、唾液まみれのペニスから口を離し、体を崩しながら、いやいやと小刻みに首を振って、大粒の涙を流した。
今日習得させた、私好みの舌使い。
頭の中で、指導と調教の言葉を並べて置いてみる。
尚美の崩れた体を起こした私は、
もっと過酷な修行へと導くことにした。
尚美のこと【舌】前編
最近、眠りにつく前にあのことをよく思い起こす。
尚美に少し深刻に伝えられた琴線のこと。そして、決まってアルバイト先の店長やゼミの先生と一緒にいる彼女の姿が目に浮かぶ。
レジ打ちを教わっている尚美。英文の解釈を教わっている尚美。大柄な男達の隣りでハタチそこそこの華奢な彼女が、姿勢を正して頷きながら聞いている。
大切なことを教えてもらって、それを習得するために。
…導かれている。
私は以前、尚美からもらった写真を思い出した。ハタチそこそこの清楚で華奢な彼女の学生のときの写真。
探して、見つけた。
或る逢瀬の日、また尚美を縛った。
それは、或る目的のために。
長襦袢を着せた日、洗わせなかった陰部を弄ばれたことが余程恥ずかしかったのか、部屋に入ると彼女は直ぐに浴室へ向かった。たぶん、いつもより入念に体を洗って浴室から出た彼女を、私は部屋着を着させず全裸のまま目の前に立たせた。私はまだシャワーを浴びていない。
今日は何をされるのか、と立ちすくむ尚美を後ろ手に縛る。縛り終えると彼女を跪かせ、私はゆっくり服を脱いだ。彼女は俯いて床を見ている。
私は腰をおとして、視線を逸らす彼女の顔を見る。
そっと手を伸ばし彼女の顎の下に手を添えて顔を持ち上げた。
後編につづく…