2ntブログ

Three persons

二十歳そこそこの頃、学生時代の友人に会うため上京する。

居酒屋で飲み、その後、歌舞伎町に足を向けた。
当時話題になっていたテレフォンクラブ。
個室に電話機とティッシュだけが置かれ、鳴ってきた着信に受話器を上げる。

個室は満室で、誰かに先を越されるばかりの時間が過ぎる。
何十回目かで上げた受話器の向こうから「こんばんは」の女の声が届く。
はじまして。
上京したこと、年齢、身分等、会話の詳しい内容は忘れてしまったが、
これから会う約束を取りつけて店を出る。
友人は戦いに破れ一人帰路についた。羨ましがっていた。

タクシーに乗り待合い場所に着いて暫く待ってると、
40前後の女が近寄ってきた。普段着でいかにも主婦のよう。
美人ではないが色気があり上品な雰囲気で悪くはない。
その女が気まずそうに告げた。
「実はこの事が夫にばれて、でも仕方ないと言って、一緒に来てるんです」
え?どういうことですか?
人気のない駅前の路上で車の運転席にいる男がこっちを見ている。

実は、待ち合わせ場所は都心から離れた区の外。
タクシーで五千円ほど払って辿り着いた街はずれの小さな駅だった。
時刻も深夜に近く、辺りは薄暗く人通りもない。…怖くなった。
しかし、その女の色気に惹かれ、一度欲情した気分を抑えられない。

「一緒でもいいって言ってくれてますから」
なんとなく察しがついたが、、どういうことですか?とまた尋ねた。
その問いには答えず「どうします?」と念を押す。
沈黙を置いた後、重く頷いて、女に付いて行った。
セダンの後部座席に乗り、車が動き出し、50前後の夫が口を開いた。
「家内が勝手なことをして、、迷惑をかけてしまってすみません」
「でも起きてしまったことは仕方ないですから、、」
目的地が決まってるようで躊躇なくハンドルを切っていく。
妻は下を向いたり窓の外を眺めたりしている。
程なくして車はモーテルのビニールカーテンをくぐり空室の前に停車する。

無言…。

部屋に入って、「何か飲む?」
緊張して喉が乾いていたので差し出された缶ビールを飲む。
座卓に座り三人腰を降ろすと、夫が場を馴染ませようと、
「東京は初めて?」いえ。「いつ来たの?」「お仕事は?」
ビールを両手で少しずつ飲みながら短く答える。
妻は控えめに頷きながら黙ったまま。

疑い深そうな態度を察したのか、
「刺激がほしくてね」本音が出た。
「こういうことって知ってるよね」…はい、知ってます。
と、物わかりが良さそうに応えた。

夫「シャワーしてくる?」 妻「ええ」
もう帰りたくなっていた。逃げ出したかった。
今までの刺激がもう充分だったのか、早く一人になりたいと思っていた。
この変態じみた状況下に身を置く背徳と嫌悪感もあった。
妻がバスタオルを巻いて出て来て髪を梳かす。
「君も浴びてきたら?」夫が促した。
もう、どうにでもなれ。裸の女を目にして堪念し肝を据えた。

つづく…


本文と展示画の関連はありません。


プロフィール

鐸(たく)

Author:鐸(たく)
中国地方在住。
60代男性。
自作の緊縛画、責め画を展示し、
その想いや色事を綴っています。
18歳未満のかた、
不快と感じられる方の
閲覧はご遠慮ください。

リンクはご自由に。(ご一報頂ければ有り難いです)
色々なご意見やご感想もお待ちしております。

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