可哀相
からだじゅうが、痛かった。
ただ痛いだけだった。
なぜ痛くされるのか、怒りに近い、
しかし怒りではないものが、私に悲しそうな声をさせた。
「可哀相に」
ナカザワさんはみおろしながら、言った。
言ってから、ナカザワさんはたゆたうのを止め、
容赦ない動きを始めた。
終わってから、ナカザワさんはもう一度、
「可哀相に」 と言った。
「何が可哀相なの」
「みんな可哀相」
或る“小説の一文”より
屋根裏の散歩者
実相寺監督の「屋根裏の散歩者」を観た。
原作は江戸川乱歩。
屋根裏から覗き見る住人達の生態。
天からの視線、この構図が好きだ。
隅辺にある家具小物、そして包み込む空気感。
静止したものと蠢く(うごめく)もの。
部屋すべてが視野に入り、時間までもが連鎖する。
男女、女女の絡み。緊縛、責技。様々な性態を
主人公の男が天井裏を渡り歩き板間、節穴から覗き込む。
そして、覗くという行為…。
僕は高校生のとき偶然、隣家の窓から新婚妻の下着姿を見たことがある。
雑誌や写真集で女性の裸は見慣れていたけど、
その覗き見てしまった感動と胸騒ぎは今でも憶えている。
隣人はカーテンを締め灯りを消した。
その部屋は2階で寝室だとわかっていた。
もし、屋根裏への術があるなら覗き見たい…
そんな衝動が湧いていた。
原作は江戸川乱歩。
屋根裏から覗き見る住人達の生態。
天からの視線、この構図が好きだ。
隅辺にある家具小物、そして包み込む空気感。
静止したものと蠢く(うごめく)もの。
部屋すべてが視野に入り、時間までもが連鎖する。
男女、女女の絡み。緊縛、責技。様々な性態を
主人公の男が天井裏を渡り歩き板間、節穴から覗き込む。
そして、覗くという行為…。
僕は高校生のとき偶然、隣家の窓から新婚妻の下着姿を見たことがある。
雑誌や写真集で女性の裸は見慣れていたけど、
その覗き見てしまった感動と胸騒ぎは今でも憶えている。
隣人はカーテンを締め灯りを消した。
その部屋は2階で寝室だとわかっていた。
もし、屋根裏への術があるなら覗き見たい…
そんな衝動が湧いていた。