2ntブログ

カマキリとひと夏の出来事



フロントガラスのワイパーに引っ掛かっていた
15cmくらいの大きなカマキリ。

目の前のそのカマキリに運転席の女性が怯えていた。
朝の出勤途中、信号で車を止めた時にバックミラーを見て、
後続の様子が目に入った。黄色のHONDAフィット。
信号が青になり車が走り出して風に当たっても、
カマキリは挟まれてへばりついたまま。
次の信号で止まって再びバックミラーを見ると、
その女性が困った顔で恐る恐るガラスを叩いている。
泣きそうな顔にも見える。何かしゃべってる。
「お願いだからあっちへ行って」
聞こえはしないけど、たぶんその類いのことだろう。
カマキリの好きな女性なんてまずいない。

信号が変わるまで時間があったので、
車から下りて女性の車に小走りで近寄り、
そのカマキリを摘んで分離帯の緑地へ離してやった。
眼鏡をかけた彼女はハンドルを両手で持ったまま、
フロントガラス越しに微笑んでお辞儀をしてくれた。
僕も軽く笑って会釈を返す。
車に戻ると同時に信号が変わり、お互いの車が発進する。
次の交差点で彼女は右折、僕は直進。
右折するために車線変更した彼女はこちらを向き、
またペコリと頭を下げて追い越して行った。

数日経ったある日、
TUTAYAで女性から声をかけられる。
「この前、フロントガラスの虫を取ってくださった方ですよね」
「はぁ、、はい、、ああ、はい」
彼女は眼鏡をかけていなかった。
「ほんとにありがとうございました」
「いえいえ、、カマキリでしたね」
「ええ、、あの時、もう、どうしようかと思ってたんです」
「おかげで助かりました」
「僕が虫好きでよかったです」
何言ってんだろ?
「どこから飛んできたんですか?」
「車庫から出てくる途中に上からボトリと、、
 捕れなくてワイパー動かしたら挟まっちゃって」
「それは災難でしたね、あなたもカマキリも」
「ええ、ほんとに」
立ち話を少しして、また会釈を交わして別れた。
上手に会釈をするひとだ。
彼女はアラフォーな感じ。小柄でチャーミングだった。
ここのTUTAYAが最寄りだったらまた会えるかも?

彼女が店を出たのを見届けて、
新作の洋画2本、残りの2本はAVを借りて帰った。
なぜなら4本で900円なので…。

そういえば『かまきり夫人の告白』という成人映画があった、と思い出した。
五月みどりの主演だったような。
今度借りてみよう。でも、あるかな?

あのカマキリも大きかったから、たぶん成熟した雌。

分離帯じゃなくて、何処か草むらにでも放してあげればよかった。
交尾する雄を見つけられたのに…。





↓ 過去の作品ですが




11_9b.jpg



プロフィール

鐸(たく)

Author:鐸(たく)
中国地方在住。
60代男性。
自作の緊縛画、責め画を展示し、
その想いや色事を綴っています。
18歳未満のかた、
不快と感じられる方の
閲覧はご遠慮ください。

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色々なご意見やご感想もお待ちしております。

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