誰も知らない
何処かで知り合った女性に、
性癖のこと、絵のこと、ブログのこと、
知らしめてみたい欲が潜んでいる。
知った彼女はどんな顔をするだろう。
無視? 軽蔑? 興味?
なんでもいいからその視線を仰ぎたくなる。
飲み会のあと不意に思いついて、
昔行き付けていたスナックを探してみる。
お店の名前はそのままだが、
ホステスさん達の顔ぶれは替わっていた。
20年近くも経つもんな。
ホステスさんとカウンター越しで雑談する。
いくつかの話題を経て
お互いの性格がSかMかの話になる。
彼女はMだと言った。
もちろん、それは縛られるのが好きということではない、
…のだろう。
「実はね…」
「僕はブログでこんな絵を描いてる」
スマホでアクセスして画面を差し出す。
彼女は黙って見入っている。…じっと。
「まだあるよ」
スクロールしてあげる。
妄想。
「実はね」の言葉を呑み込んだ。
「どうしたの? 酔った?」
「そうみたい、そろそろ帰るわ」
「またいらしてね」
危ねぇ 危ねぇ…
この絵の正面からのアングルを作画中です。
近々展示予定。